美的感覚

体調が優れないために気分も優れないのか、気分が優れないために
体調も優れないのか、今一つ量りきれない5月です(苦笑)。


確実なのは、体調が悪いことなのですが、今一つ理由が不明で、
何だかなあ……と、若干鬱鬱しながら日々を送っています(笑)。
皆さんはいかがお過ごしですか?五月病などにかかっていませんか?



と、いうわけで(?)、体調が悪いせいか「少々気に障ること」が、
近頃、やけに気に障ってなりません。で、個人的に最も苦手なものが
「うるさい音」、こと「耳障りな声」なのですね。


もともと興味をもって「声」を聴くほうですが、体調が悪いと、
どうも、この「耳障りな声」に敏感に反応してしまいます。



その代表が女性の甲高い喉声。とくに最近は、酷い高音で話す
女性アナウンサー(?)が増えた気がしてなりません。さらに、
その声で、小学生のような舌っ足らずの喋り方をするのも
耳にしますが、あれもどうも苦手です。で、画面に目をやると、
大抵、服装も振舞いも、声と同様に幼いのですね。
……確かにね、と思いあたる方もいるのではないかしら。


そういった女性たちを見かける機会は、TVに限らず、ここ数年、
急増したように感じます。勿論、二十代はまだまだ若い世代
だけれど、例えば天気予報やニュースを読む時には、きちんと
落ち着いた話し方や恰好をしたほうが良いのではないかしら。


プライベートでどう振る舞おうと、個々人の自由だけれど、
公の場ではですね、成人女性は成人女性として振舞ったほうが
美しい気がします。



が、多分、これは当人たちに、というよりも、彼女たちに、そのように
話し振る舞う事を許可している人々の感性に、問題があるのですよね。
(その多くが中高年男性と想像します(苦笑)。)


国や言語、時代によっても、美しいと感じる声や容姿は異なると
思いますが、現代日本では、幼くカン高い女声や、成人女性が
女児のような恰好をしているのを、「可愛い」と評価する
傾向があるのでしょうね。個人的には、奇妙に感じる美的感覚です。


……ただですね、上記のような傾向を奇妙と感じている人は、
案外多いと思うのですね。今の日本の「全体」の価値観は、
熱に浮かされたような上面と、地に足のついた現実とで、
驚くほど隔たりがある状態なのではないかしらと疑っています。


体調が悪いと、どうもそういう事が普段以上に気になりますね(苦笑)。



そんな中、個人的にTV上でとても好きな女性たちが、公共放送の
21時のニュースのですね、女性アナウンサーと、気象予報士の女性。
この二人がそろって画面に出て、落ち着いたやや低めの声で
話すのを聴くと、ほっとして、ベストツーショットと頷いてしまいます。


……今気付きましたが、もしかして私が、女性の落ち着いた低音を
好むというだけのことかしら(笑)。



と、そういえば、「美的感覚」で、最近もう一つ不思議に思う事が、
「40を越しても若く美しい女性」の流行です。何と言いますか、
「40代で、20代に見える」というのが、褒め言葉になるのが不思議。
とにかく「−5才」の見た目を目指すのが不思議。


もちろん、年を取っても「若々しく美しい」人はいるはずですが、
「年をとっても若々しくいる」事と「とにかく若く見せる」事が、
近頃の流行では、混同されている気がします。



個人的には、世代ごとにそれぞれ見合った美しさがあると思うのですね。
例えば、40代なら、決して30代には出せず、50代には似合わない
40代なればこその魅力のようなものがある、と思う訳です。それを
追い求めるのなら、話が分からなくもないのだけれど、
全世代だれでも「10年前の美しさ」を求めていては、なんだか、
常に時に追われて、老いと戦っている気にならないかしら。


それよりも、今現在の年齢が、最も美しく見える何かを目指した方が
ずっと気が楽なのではないかしら。そして、それを追えば、
自然と年相応に「若々しく」いられるのだと想像します。



ええと、例えば、50代で50代らしく美しい人は、
勿論50代の中にあっても、抜きんでて美しく見えるのでしょうし、
仮に、30代で30代らしく美しい人と比べられても、遜色がない
と思うのですが、50代で30代風の美しさを演じている人は、
例え50代の同類の前では、「若く見える」としても、
本物の30代の美の前ではですね、所詮50代だと思うのですね。
……って、身も蓋も無いかしら。



何しろ、年は取るものですから、抗わずきっぱり諦めて上手く
年を取った方が、最終的には、よりお洒落、と思っています。



が、こういうことをぺらぺらと力説しても、友人たちの同意を
得られることはあまりありません(苦笑)。ので、やはり女性は
取りあえず若さを求めるものなのでしょうか……。



そう言えば、英国では、日本よりも10年ほど魅力的と感じられる
年代が上で、30代がもっともよい年頃と考えられるようです。


それでも、年を取ってもその「素敵な年代」であり続けたいと
望むのは同様で、オスカー・ワイルド Oscar Wilde の戯曲、
'The Importance of Being Earnest' の中に、
こんな台詞が出てきます:



   35 is a very attractive age. London society is full
   of women of the very highest birth who have,
   of their own free choice, remained 35 for years.


   (ざっくりとした意訳:
    35というのは、とても魅力的な年齢だわね。
    ロンドン社交界は、何年も35歳のままでいることに決めた
    やんごとない生まれの女たちで溢れていてよ。)




あっけらかんとしてサバサバとした感じが笑いを誘います。


若くいようと望むのも、どこか吹っ切れて、達観していると
何だか朗らかで微笑ましく、若々しく感じるものですね(笑)。



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