今回は、韻について。小難しいことは抜きにして、
言葉のリズムの良さや、同じ音の繰り返しのことです。


シェイクスピア芝居などをやっていると、
この韻というものがとても好きになります。
英語という言語は、韻を踏みやすく、
また韻を踏んだ言葉の連なりというものが、
聞いていて気持ちの良いものなのですね。



例えば、シェイクスピアから簡単な例を挙げますと:



   On the ground
   Sleep sound
   I'll apply
   To your eye...
       (A Midsummer Night's Dream, Act3 Scene2)



夏の夜の夢、妖精ロビン(パック)の台詞です。カタカナにすると、



   オン ザ グラアウンド  
   スリイプ サアウンド  
   アイル アプラアイ  
   トゥ ユウラアイ



といった感じでしょうか。少しカタカナ訳に無理があるかしら。
でも、これは、とにかくリズムがよくて呪文のように聞こえる台詞です。
とくに、ここは、妖精ロビンが、惚れ薬(魔法の草)を使うシーンですので、
まさに状況にぴったりの音の聞こえ方。
翻訳すると消えて去ってしまう、シェイクスピアの面白さの一つです。



……で、またV6のことでごめんなさい。


実は、昨年PVを見ていて、最初に「やられた!」と思った曲が、
「LIGHT IN YOUR HEART」なのですね。


この曲のサビの部分の歌詞は:



   We gonna be Hope
   行こう 希望よ
   信じるのさ その勇気を



ですよね。これ、歌っていると、こう聞こえますでしょう。



   ウィ ゴナ ビイ ホオウ(プ)

   ユコオウ キイボオウ ヨオウ 
   シンジイルノサア ソノユウウキウォオウ



なんて見事な韻の踏み方……。
まさか、英語と日本語でこんなに美しく韻が踏めるとは思わなかった。
Hope の最後の「P」は、やや日本語的に発音した場合には弱まりますので、
「行こう」と「きぼう」と韻を踏めるのですね。


きっと、他にも沢山こういうふうに韻を踏んだ歌詞はあるのでしょうが、
私には、これが最初に耳にした日英混合韻(?)でしたので、まさに衝撃。


それに、音だけじゃなくて、意味がね、なんとなくぴったりでしょう。
「We gonna be Hope」 と 「行こう 希望よ」ですもの。
ここで、「行こう 希望よ」という日本語が出てきたのは凄い。
メロディーにもぴったり合っていて、またヒーローのテーマソングに
ぴったりの壮大な前向きなイメージ(笑)。


シェイクスピア好きには堪らない、音と、言葉と、意味と、動きと、
その他諸々の見事な「融合」の生み出す美しさです。
色々ちまちましていないところがまた素敵。


作詞家・作曲家及び制作スタッフの方々に脱帽です。
そして、見事に歌いきったV6に敬意。
とくに、「Hope」と歌うところの声が、どういう訳か魅力的。


それにしても、本当に良い歌に恵まれていますよね……。



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