時と熟成

今回は堅苦しいテーマです。そして長いです。ご注意を(笑)。




古いものを大切にし、また同時にそれに囚われない、と言うことが
いかに難しく、そして大切なことかと、近頃、改めて思います。



長く受け継がれてきた物事に愛情を持ち、大切に日々の生活の中に
取りこんでいる人々の姿を見ると、心が洗われる気がします。


逆に、例えば、古い立派な洋館や民家などが、「古い」からと取り壊され、
流行りの、一見「素敵風」の安っぽい建物に
建て替えられるのを目の当たりにすると、とても胸が痛みます。


程度の違いはあれ、日本だけではなく、全世界で起こっていることですね。
古いものや伝統を大切にするはずの英国ですら、
古い美しい商店街を取り壊し、どこの大都市にでもあるような
新しく醜い商業施設に建て替える、という時代の流れには逆らえないようです。


これは、建物に限らず、物でも、人でも、制度でも、伝統でも同じ。
とにかく、古いものが、その価値を検討されることなく、
やけに軽々と壊されていきます。



思えば、「時」というものは、人間が抗うことのできない、
様々な意味での絶対的な力を持っていますね。
シェイクスピアが最も恐れ、また最も信頼したものも「時」だったようです。


そして、その「時」の洗礼と祝福とを受け、淘汰されずに、
この世に存在し続けているものには、それなりの理由があるはずなのですよね。
それを、「今」という時代の物差しのみで測り、その価値を判断してしまうことは、
とても浅はかなことではないかしら、と思います。
一度失われたものと言うのは、二度とは元に戻らないのです。
失ってから、しまった!と思っても、もう遅いのです。



一方で、古いもの=過去に囚われ、身動きが取れなくなるのも考えものですから、
何が、未来へと進んでいくのに不要な、捨て去るべきもので、
何が、未来へと残し伝えるべき、時に磨かれた「価値ある古いもの」なのかを、
流行りの風潮や価値観に囚われることなく、
きちんと判断出来るようでありたいですよね。



そして、その「判断」に必要なのが「本物を見極める力」ではないかと思います。
これは、個人的には、人間の持つ最も大切な能力の一つ。


ふと思いましたが、その力を養う基盤として、やはり幼い頃に、
人として、良質の教育を受けることは、大切なのではないかしら。


……そういえば、そんな理由もあり、個人的に、安倍元首相を
ごく地味に応援しているのですよね。安倍氏の教育改革案、
どの政治家のものよりも、地に足がついて、しっかりとしていると思います。
なんと、V6の他に、安倍元首相ファンでもあるのです(笑)。




話題進みまして、熟成。


人の生み出す何かが、時の流れの中で上手く熟成して行くためには、
幾つもの「正しい方向への判断」を繰り返さなければならない、と思いませんか?


発酵食品などが良い例と思いますが、一つ工程の判断を誤れば、
上手く熟成をせず、途中で腐ってしましまうこともあるわけですよね。
人の活動や、人生そのものも、同じではないかしら。


例えば、一つの誤った判断が、
ある人の人生をがらりと変えてしまったりするでしょう。


考えてみれば、怖いことです。
人が岐路に立たされた時、次の一歩をどの方向に踏み出すか。
例えその時は、小さな決定、小さな一歩のように見えても、その決定が導く先は、
実のところ、ある程度決まってしまっているのですもの。


勿論、後に誤ったと悟り、やり直すことも出来るのですが、
ちょっと穿った見方をすれば、つまりは最初の判断が、
「失敗してやり直す」という方向へ、その人を導いたとも言えるのですよね。
それが肥やしとなり、長い目で見れば、
正しい判断だったということもありますが……。
……決して単純ではないですね。



ともかく、あらゆる分野で、花開く人々というのは、大きな岐路での判断、
また、日々の小さな判断を、正しい方向に下してきた人々と思うのです。
ただ、人生の一点で花開いた後も時は進み、
そこから判断を誤ることもあるわけですから、
その「判断」との戦いは死ぬまで続くわけですけれど……。
……ああ、単純ではないですね。



無理やり話題を戻しまして、
この、人を正しい(美味しい?)熟成へと導く「判断」にも、
やはり「本物を見極める力」が役にたつのではないかと思います。


「今」という時代が持つ一瞬の価値観と、真の価値との違いを見極めることで、
人は、正しい熟成へと続く方向に
一歩を踏み出すことができるのではないかしら。
悩んだときに、「真の価値」を見極めるべく、とにかく考えぬくことは、
とても重要なこと、と個人的には思います。



でもですね、それでも判断に迷い、思い悩みんだら、結局
直感に頼るのが良いようですね(笑)。これも、多分「本物を見極める力」の一つ。
正しくひたすら悩みぬいた後は、潔くきっぱり思考を放棄し、
愉快に楽しく時を過ごし、ぐっすり休んだ翌朝、
目覚めた時の直感で決めろ、などと言いますね。(言わないかしら。)
……やはり単純ではないですね。




気付けば、今回、まとまりもなく、しかも、まわりくどいですね(苦笑)。
どうか、今回は、このままで、ご容赦を……。




最後に、何か素敵な話題を、と思っていましたら、森田さん主演の舞台、
金閣寺」のNY公演決定というニュースが目に入りました。
嬉しいニュースですね!


一度見ただけの公演なのですが、複数回観劇に行かれた方から、
森田さんの演技も公演そのものも、どんどん良くなっていったと聞いています。
(いつも、教えて頂いて、ありがとうございます。)


個人的には、近頃数ある「海外進出」の中でも、やっと、
日本の本当の実力者の進出という気がして、ワクワクいたします。



それにしても、レンショウ氏に見事に認められた坂本さん。
(勝手な想像ですが、きちんとした英国の舞台人である氏は、坂本さんを見て、
良い意味で驚いたと思うの。どうだ!と言いたいです(笑))、


そして、今回、舞台「金閣寺」を、芝居として纏め上げた立役者と言っても、
きっと過言ではない、森田さん。


リーダーのお二人に、心から敬意を。



V6に正当な評価がもたらされる日は近い!かもしれませんね!



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