「そこはかとなく」

書きものに追われるか、体調を崩して寝込んでいるかの日々を送る内に、
いつの間にか2012年も、夏になっていました。今年上半期は、
どうも健康だった時期がないのではないかしら、と疑いつつ、
もう夏かと、驚くやら、慌てるやら、何だかいろいろ
訳が分からなくなっている今日この頃です(笑)。


皆さんはいかがお過ごしですか?



数日前、昨年度計上の復興予算を使い切れなかった、という
ニュースを見て、ああ、やっぱりね、と溜息を吐いていたら、
先日は与党分裂という、馬鹿馬鹿しいニュース。何だかなあ、と
また溜息です。どうも、ここ最近、政治に関する報道の論点が、
益々ずれてように感じられてなりませんが、それでいいのかしら。



近頃、多用にかまけて、新聞を詳しく読みこんでいませんが、
いわゆる今の「政局」というものは、本当に報道が煽りたてるほど、
複雑化しているかしら?と疑問に思っています。実はごくシンプルな
状況を、センセーショナルな雰囲気で色をつけ、訳分からないふうに
仕立て上げ、ワーワーと騒いでいるだけではないかしら。



個人的にはですね、誰かが、話の「難しくてよく分からない部分」
を切り捨て、分かる部分だけを抜粋してつなぎ合せれば、とりあえず
どんな話であっても「複雑ふう」に見えてしまうものと思っています。


細かい絵柄の大きなジグソーパズルも、完成したものを見れば
何が描かれているのか簡単に分かりますが、穴だらけにして、
上下左右の位置を置き換えたり、一部分だけを拡大して見たり
すれば、何がなにやら分からなくなりますよね。
それと同じことを、政局報道がしていると思うわけです。
(……この国の報道は、なぜかそういう作業がとっても得意(苦笑)。)



今政界で起っていることも、要は、「現与党は、選挙前、いろいろ素敵な
約束したものの、いざ政権を担ってみると、その実現が不可能と気付き、
しかも、実は、政治がよく分かっていないため、どうも身動きが
取れなくなって、あら、どうしましょう、となっている」
というだけの話、と思うのですね。(……数年前からね。)


で、悲しいかな、所詮は素人集団の現与党が打てる手というのは、
以下の二つだけだった、と:



  1.自民党に力を借りて、取りあえず当面何とかする。
  2.政権を諦め丸投げして、何とかしてもらう。



そして、現与党は、1.を選択した、と。理由は単純に、意地と
一度手にした権力を失いたくないからの二点ではないかしら。
で、まずは「大連立」の話になり、当然のように断られた訳ですよね。


(そういえば、当時も、断った野党側に辛辣な報道を目にしましたが、
個人的には何だかなあ、でした。「国のために一致協力して」といえば
聞こえはいいけれど、言いかえれば「俺たち、仕事出来ないけど
政権は失いたくないから、あんたたちが俺たちの看板の下で
仕事部分だけ請け負ってくんない?もし失敗したら責任も取ってね」
という誘いと思いますから、まともな神経をした人間ならば、
断って当たり前なのではないかしらね。)



その後も、現与党は、2.の選択肢(=解散総選挙ですね)を避け、
思考錯誤しながら、1.をいろいろ試し続けて今に至る、と。


何にせよ、自民党の力(知識・実行力)を借りなければ、政権の運営が
出来ないために、自民党の力を借りようとしているわけですが、その点は
あまり指摘されず、なぜか「総理が自民党と手を組もうとしている」
という二次的な部分だけが、今さら、与党内で問題視され、離党だ分裂だ
マニフェスト違反だと、大騒ぎになっている、のですよね。
報道もそれに乗っかっている、と。
……えっ、そこ、騒ぐポイント?と、ポカンと口を開けています。


問題は、随分前から「自立できない内閣及び与党」という存在そのもの
のみなのですよね。ですからもう外交とか経済とか復興とか色々なものが
現在、驚くほど穴だらけのツギハギ。で、要は、ワーワーと騒ぎ立てて、
その根本部分から世間の目を逸らそうとしている、だけではないかしら。


政治家が、自己保身のために何を言うのも・するのも勝手ですが、
(全く賛成はしないけれど)、せめて報道はね、きちんと問題の核を
見極めて、常にそこをピンで突くような報道をして欲しいと
思ってしまいます。



とにかく「報道の劣化が政治の劣化を招く」という悪循環を
断ち切る為にも、報道関係に携わるまっとうな若手の方々、もう、
ぜひ頑張って下さい、と仕事の合間に、つらつらと考えるこの頃です。



……それと、単なるイメージの話なのですが、近頃何となく、
社会全体が浮足立っている気がしてならないのですよね。


以前も、「漠然とした不安は、化け物のように猛威をふるう場合もある」
というような事を書いた記憶があります。何が不安なのか分からないと、
人々の間で、不安が倍増してしまうのですよね。



相変わらず、シェイクスピアからの引用ですが、



  I find the people strangely fantasied:
  Possessed with rumours, full of idle dreams,
  Not knowing what they fear, but full of fear.
  (ざっくりとした意訳:人々は、奇妙に浮足立っているようでした。 
  噂話に取付かれ、実の無い夢の話に心を奪われ、
  何が恐いのかも分からないまま、ただ恐れ慄いているのです)



という台詞が、「King John ジョン王」の中に出てきます。
ジョン王の権力が弱まり、中枢にいる貴族も疑心暗鬼に陥り、
未来が読めない中で、人々の間に、そこはかとない不安が
広がっていくのですね。その状況を語っている台詞です。


たかが政治、されど政治。国の祭り事(政)が不安定になると、
人々は、はっきりとした理由も分からないまま、日々に不安感を
抱いていしまうのだと思います。そんな、浮足立った不安定さに
今また、社会全体の価値観が流されつつある気がしてなりません。



が、漠然とした不安は、不安の大本が明確に指摘されれば、
不安ではなくなる、はずなのですね。ので、不安の根源は
政治の空回り、と人々がきちんと認識するようになれば、
また、ストンと地に足が着き、浮つきも落ち着く気がします。



と、言う訳で、やはりまっとうな若手報道陣の奮起を願ってしまいます。
報道だけは、政治の空回りに翻弄されるのではなく、ましてや
それを煽るのではなく、常にごく冷めた第三者の目を持って
「空回り」の本質を分析していて欲しいのですね。それだけで、
実のない物事の「化けの皮」は、簡単に剥がれるはずなのですね……。




……などと、どうもこんな感覚的なことばかり書いていては、
読む方は確実にうんざりするな、と、今、気が付きました(苦笑)。
そして、次回は愉快なことを書こうと、今、心に決めました(笑)。


ので、今回は、訳の分からない内容のまま書き逃げを……。
ごめんなさい!




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