目を覚ます日

震災から、先週末で三ヶ月が経ちましたが、
具体的な復興への道筋は今も見えないまま、
ただ、政府の「壮大な」アイディアが次々と発表されては、
いつのまにか消えて行きます。


こういう状況下での、三ヶ月間の停滞と言うのは、
平時の三年間くらいの停滞に等しく、そろそろ社会全体が
「言葉遊び」に踊らされるのを止め、「deception」を直視して、
目を覚ましても良い時なのでは、と思わずにはいられません。



近頃よく、戦後からの復興が話題に上がるのを耳にしますが、
個人的には、日本は、幕末から始まった「西欧化」や「近代化」の
大きな流れを、いまだ上手く消化できずに足掻いている最中と感じます。
「戦後」という時期だけを切り離して考えることは、
問題の本質を、曖昧なままに置き去りにすることになる、と思うのです。
根本にあるものは、異文化を吸収する際の基盤となるはずの、
「日本・日本人とは何か」という問い。


この、ごく基本的な大切な問いが、今もあまり議論されずにいるのは
なぜなのでしょう。海外からの評価のみに耳を傾け、
褒められてはしゃぎ、叩かれて自虐的になるのではなく、
客観的に自己分析をするべき時期が来ているように感じます。



そして、それはこの国の政治を考える上でも、決して
置き去りにしてはならないことではないでしょうか。
この国が持つ「質」を認識できなければ、
この国の現実に根づく政治は、決して生まれませんよね。


日本人としての「自我」の再生、政治の復活、震災からの復興、
文化・芸術の成熟、道徳の再確認、すべて、根に必要とされるものは
同じと思えてなりません。



また、政治とは何か、国を動かすとはどういう事か、
政治がきちんと機能することが、どう自分たちの生活と係わってくるのか、
そういった、目先の個人的な利益や欲を超えた大きな視点で、
私たち一人一人が、ものごとを捉えるべき時が
来ているのではないでしょうか。


そして、それが見えてくれば、被災地支援・震災からの復興も、
政治と切り離して考えることは出来ないと、
明確に分かってくるのだと思います。


なによりも、そのことに多くの人々が気付かなければ、政治の世界も、
そして現状も、決して変わるはずがないのですよね。



よくメディアなどで、「この国の政治家は頼りにならない」や
「誰がやっても一緒」という言葉を聞きますが、
きちんとした政治家はいるのです。彼らに正当な評価を与えないまま、
漠然と政治家批判を述べることには、疑問を覚えます。


そして、多くの人々が、表層のイメージに踊らされて、
「有能な政治家たち」と「政治家ふうの面々」を同列に扱っている限り、
有能な政治家が、活躍できるはずがないのですよね。
これは芸術の世界でも同じ、と思うのですけれど。



もしも、本当に心から、日本と言う国を崩壊させたいという目的の下に
行動している人々がいるのならば、それはそれで仕方のない事。
自らの明確な目標に向かって生きているのですから、
まったく賛同はしませんが、それはそれぞれの道、と思います。


ですが、もしそうでないならば、こと、人々に影響を与える立場の、
報道関係者には、胸に手を当てて考えて欲しいと、切に願ってしまいます。



そして、正直なところ、何が正常で、何が必要とされているのか、
意識下では、多くの人々が知っているのではないかしら。
有能な指導者は、日本にきちんといるのですよね。
麻生元総理、そして安倍元総理。
言いかえれば、この大変な時期に、この大任を任せられる、
有能な首相経験者が、現役で二人もいるということ。
メディアや政治の世界が、それを口に出さないだけではないでしょうか。


ごく単純に、現首相の退陣ですとか、その後継者選びの「問題」は、
物事の本質に触れることのない表面上の細工で、
だからこそ空回りし、その空虚さが生み出す「世論」が、
現首相の拠所となり、多くの事の枷となっているのだと思います。



が、今、現政府が、無策のまま、ひたすら問題を積み上げてしまった
この現状で、また新たな首相に一から任せるよりは、
首相経験者に委ねる方が、本当は現実的かつ効率的と感じますし、
総理大臣時代の実績を考えても、本来は一番に名が上がるべき二人と
個人的には考えます。そして、そこに向かう道はあると考えます。



帰国してから今まで、一貫して耳にするのが、
「この国では、本物は嫌われる」という言葉。
ですが、本当にこのままでいいのかしら。
本物に活躍してもらわなければ、困るのではないかしら。


そろそろ、社会全体がきちんと目を覚ましても良い頃と感じます。
現実の傷や膿を直視せずに、架空の痛みに騒ぐだけでは、
傷は決して癒えることがないと思うのです。



……と、そんなことを、つらつらと考えてしまった週末でした。
まとまりがなくてごめんなさい!




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