シビアな一月

先日、チケットを頂き、ある音楽会に行ってきました。
たいそう立派な楽団によるコンサートで、
たいそう立派な名前のついた公演企画の一環でした。


……言葉に棘があるかしら。つい……(笑)。


いわゆる「現代音楽」と呼ばれるもので、メロディも、
核となる美しさもなく、この耳には、ただひたすら
騒音と聞こえるような作品だったのですね。
名のある日本の作曲家の楽曲らしいのですが、難解で
少々時代遅れの「前衛芸術」と言うのが正直な感想でした。



で、ですね、驚いたのは、演奏後、拍手が鳴りやまなかったこと。


勿論、「現代音楽」が好きな方も、良かったと思った方もいたと
思いますし、指揮者(作曲者)が舞台から消えるまでは拍手を続ける、
という、演者に対する敬意の表し方にも疑問を覚えません。


でも、今回は、「本人が去った後も賛美の拍手が鳴りやまない程
素晴らしい作品・演奏」では、決してなかったと思うのですね。


が、その後も一部観客が、なぜか騒がしく、しつこく拍手を続け、全体が
それに引きずられるように、なんとなく拍手を続けていたわけです。
義務的でしたが、それでも鳴りやまぬ拍手である事に違いはありません。



結局、その指揮者は、複数回カーテンコールに登場しましたが
その姿を眺めていて、もしかして演奏会は大成功だったと
思ってはいないかしら、とふと疑問を覚えました。


個人的には、本当に良い演奏や良い曲には、好みの違いに関係なく
聞き手を納得させる「何か」があるのだと思います。
自らの感性に合わなくても、良いものは良い、と思わせる何か。


が、今回舞台上に見たものは「自己満足」で、あれで拍手喝采
浴びてしまうと、演者は悲しい勘違いをしてしまわないかしら。


……あっ、もしかして、今までずっとそうだから微妙な作品なのかしら。
……って、酷い言いようですね(苦笑)。



もしかすると、演奏後の「拍手」はごく儀礼的で、
観客も「拍手」を重要とは考えていないのかもしれませんし、
演者も、拍手の「質」を観客の反応を知る物差しとして
受け取ってはいないのかもしれません。


が、舞台芸術に携わる者にとって、感性の鋭い観客―
受け取り手の職人は、本当に黄金にも値するものと思います。
作品や演奏の良し悪しを判断するのは、結局観客なのですものね。


ですから、受け取り手側は、ごくシビアに、満足したならば拍手喝采
そこそこの作品と思えばそこそこの拍手、出来の悪い作品なら冷やかな態度と、
きちんと反応を変えて良いのではないかしら。舞台と観客席の間には、
そういう厳しさが存在していて良いと思うのですよね。


が、そんな厳しさは、先の音楽会では皆無だったように感じます。



ただ、その公演は、国の「トップレベ舞台芸術」の支援対象と
なっているようで、もしかすると人々は演奏ではなく権威に対して
闇雲に拍手をしていただけなのかもしれません。


(……ところで、国の「トップレベル」の判断基準は
いったい何なのかしらね……。)


ふと「裸の王様」のお話が頭に浮かび、
思わず「……馬鹿じゃないの?」と呟いてしまいました。
なんだか、シビアな気持ちの一月です(笑)。



そんな折に国会が始まったものですから、心はさらにシビアに……。


現首相が、短絡的に前首相2名の言葉を引用し演説をしたようですが、
原文の本質を理解しないまま、良い所を勝手に解釈し利用しようとして、
見事に失敗した、などと言われているのを耳にしました。



実は、今回の現代音楽作品も似たようなもので、オーケストラを使って
ごく日本的なものを無理やり表現していたのですね。
他文化の音楽の手段を使って自国の感性を表現しました、と言えば
聞こえは良いけれど、そうではなくて、むしろ、あなた方の素材を
俺風に好き勝手に解釈して使っちゃうよ、と言う感じ。


表層の飾り部分ばかりを見て、適当に見栄えのする部分をつまみ食いし、
私はあなた方の文化を理解し新しい表現をしています、と見栄を張る
双方の文化に対して敬意のない「芸術」と感じたのですね。



現首相も、基本的に同じことをしているだけと思います。


現首相の言葉や行動に虚しさが付きまとうのは、
「大局」の真の意味や感覚が分からないことが分からず、自らは
政治を深く理解していると勘違いし、自らの浅慮を熟考と信じ込んで
自信の根拠としている、ような感じが見て取れるからではないかしら。


現与党も、益々順調に無能さを発揮していますが、
なぜマスメディアは、それでも現与党を庇うのかしらね。
公平な報道がされることは殆どなく、この国の報道関係者は
本当にそこまで堕ちてしまったのかしら、と訝しむばかりです。



……何だか本当にシビアな気分が続く一月のPlayersですが(苦笑)、
皆さんは、心穏やかな日々を送っていますように……!



Players