魔法が解ける+魔法にかかる

連日、暑いですね……。そして、暑いと日々の繰り返しを認識する
感覚が鈍りますね(苦笑)。気付けば、前回更新からひと月近くが
経っていてびっくり。そして、こんなに暑いのに、いつの間にか
立秋が過ぎていることにびっくり(笑)。


皆さんはいかがお過ごしですか?寝不足になどなっていませんか?



さて、見るとはなしに見てしまうオリンピックですが、
ついに準決勝で、男子サッカーが、そして決勝で女子サッカー
敗れてしまいましたね。特に女子は、とても悔しい敗戦……。


でも、今回のオリンピックサッカーは、勝敗のほかに、何だか
それぞれチームの、潮の流れといいますか、空気の流れの捉え方が
面白く、個人的には、それを、とても興味深く眺めていました。



……ええと、どうも、今回も大変感覚的な話になる予感がしますが、
潔く諦めて、ばっちり感覚的に話を進めてまいります(笑)。



実は、男子が準決勝で敗れた翌日、何気なくインターネットニュースの
コメント欄を眺めていたのですが、そこに、「最初の失点の後、
魔法が解けたみたいに、以前の平凡なチームに戻っちゃった」という
コメントがあるのを見かけました。で、それを、なるほど、的確な
表現だなあ、と思ったのですよね。観戦していた方で、
同様に感じた人は、多いのではないかしら……。


と言う訳で、今回、この「魔法」という言葉を採用します(笑)。



男子チームはですね、今回、初戦以降、どこか魔法にかかっていた様な
感じがあります。物語の「12時を過ぎるまで」と同じような感覚で、
「得点を取られるまで」有効だった魔法ですね。


……などという書き方をすると、「アブない方面の人?」と思われそう
ですが(笑)、そうではなくて、単に人の間に漂う空気と言いますか、
集団を支配する気分といいますか、そういったものの話ですね。



ええと、よく、オリンピックには魔物がいる、などと言われますよね。
その「魔物」というのは、群衆が生み出す、一歩間違えば危険にもなりうる
「高揚感」といいますか、少々異様な空気のことだろうな、と思っています。


大体、ごく普通の人々が2、3千人程度劇場に集まっただけでも
独特の熱気が生まれるわけで、それが、五輪の場合は、あらゆる競技の、
一流と呼ばれる選手たちが、たった一都市に密集するのですから、
その集団が醸し出す空気感が、異様でないはずはないのですね。


その上、全世界の観る側の意識も、そのちっぽけな場所に注がれる
わけですから、熱気を帯びてさらに異様な空気になるのは、当然と思います。



で、こういう中にいる時に最も大切なのは、多分「個々を支配する空気」を、
全体の「異様な空気」の中でどうコントロールしていくかという、
駆け引きなのですよね。集団競技の場合は、「個々を支配する空気」も
「集団から生み出される漠然とした雰囲気」ですから、
個人競技よりも、より駆け引きが難しく複雑になるのだと思います。
(特にサッカーは予選からの長丁場だから、さらに大変。)



で、こういう空気の中での競技会で優勝できる人(集団)には、
大雑把に言って、二種類あるのではないかしら。


まずは、ビギナーズラックに近い感じの勝ち方をする人。
周囲の空気の異様さに気付かないまま、高揚感にのみ同調して、
上手く身を委ねられた人々ですね。時折、まったく経験のない
若者などが、ふと金メダルを取りますが、まさにそれ。
無知や無欲、無垢から、異様な空気の内側に取り込まれないで
いられるのでしょうね。内側にいるけど、同化していないというか。



2番目は、異様な空気を認識しつつも、感化されずにいることが
できる人ですね。実力者や優勝候補と言われつつ優勝する人や、
連覇ができる人々は、まさにこれと思います。


どちらにしても、異様な空気の内側に取り込まれてしまうと、
優勝まで辿りつくことは難しいのではないかしらね。
(勿論、勝つだけの地力があることが前提ですけれども)。



で、ですね、個人的に、日本男子はどちらかと言うと、前者的な、
そして女子は、間違いなく後者的な戦い方をしてきたのだと思うのですね。



面白かったのは、男子は、準決勝の失点後に、前者的な心の在り方から
引きずり降ろされて「魔法が解けて」負け、女子は、最後の最後で、
現実を捨て「魔法にかかって」負けてしまったように見えたこと。
どちらも、「異様な空気」に、それぞれの形で取りこまれてしまった、
と思うのですが、その取りこまれ方が、何だか、両チームを
象徴するようで、個人的には、とても興味深かったです。



男子は、「魔法」が最後まで解けなければ、優勝まで突っ走れたのかも
しれないけれど、今後の発展を考えれば、準決勝で「魔法」が解けて
良かった気もします。



女子はですね、なんとなく決勝は、自らで「魔法」にかかろうと
決めたように見えました。泥臭く金か、美しく銀か、の最後の最後の
決断で、意識的にか、無意識にか、後者を選んだ気がするのですね。
(勿論、「美しく金」が一番良いのだけれど、ここまで両チームの力が
拮抗していては、それは難しかったのだと思うのですよね。)


女子の佐々木監督の恐ろしい所は、この「異様な空気」との駆け引きに、
最後の最後まで負けなかった所、と個人的には思っています。
どうもこの人は、決勝は、「泥臭く金」か「美しく銀」かの
二者択一と、知っていた気がします。でも、あえて
「美しく金」の夢というか、魔法にかけたような。
それが、米国の、現実の泥臭く金に負けたのですね。
って、美化しすぎかしら(苦笑)。


……でも、もしかしたら、「泥臭く金」よりも、今回の「美しく銀」が、
女子サッカーの為には、良かったのかもしれませんよね……。
何はともあれ、日本女子サッカー、あっぱれ!


眠くて、仕事も大変滞っていますが(笑)、今日は清々しい一日でした。



で、次は男子銅メダル決定戦ですね。
地に足をつけて戦うか、意識して再び魔法にかかるか、ですが、
個人的にね、今の男子チームなら、もう一度、全員で、意識的に
魔法にかかった方が吉と出る気がします。上手な自己暗示法を
身につけていく、という「魔物=異様な空気」との戦い方もありよね。


ここはもう徹底的に自己陶酔に走ってですね、もう一度、
キャプテン翼」になり切るのもありです。徹底した自己陶酔は、
多分米国人が五輪に強い理由だと思いますし(笑)、きっと時に有効。


闘牛士のようにひらりひらりと華麗に、泥まみれの牛の突進をかわせますように。
そうして、またうっかり魔法にかかって快勝してくれるといいなあ……。


魔法にかかっての金は、後に続かない気がしますが、
魔法にかかっての銅は大変価値がある気がするのよね……。
頑張れ、男子サッカー!



……と、訳の分からないこのまま、今回も書き逃げいたします(笑)。
ごめんなさい!



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