代表

今年もあっという間に春分の日となりました。


花粉症に気づかないふりを続ける今日この頃、
中々無視できない状況になってきましても、
興味深い集団の様子を観察するなどして
集中して気を紛らわせることにしていますが(笑)、
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。



と、いうわけで現在、個人的花粉症対策の副産物が
色々あるのですが、例えば女子のサッカー代表。


五輪最終予選が残念な結果に終わり、監督の退任会見を、
先日ニュースで見かけましたが、既に物事がきちんと
整理され、きちんと先に進んでいる様子に、やはり
今の日本では本当に稀な、地に足のついた聡明な監督
だったなあと、改めて画面に敬意を表してしまいました。



で、敗戦はきちんと過去のものとなったことですし、
試合を眺めていて感じた今回の歯車の狂いの原因の
個人的な解釈を、今回、認めてみようかと思います。


では早速。


予選で、全体の歯車が微妙に狂ってしまった原因は、
大元をたどっていけば、やはり澤選手の引退だったと
思うのですが、世間一般に一時期散見した意見とは、
少し意味合いが異なるかしら。



ええとですね、具体的には、引退そのもの、というよりは、
引退のタイミング。
監督の計画・計算の中にそもそも澤選手が入っていて、故に、
引退によって計画の変更を余儀なくされただろうこと、です。


個人的には、五輪計画とでも呼ぶべきプランが、
ずいぶん前、多分継続を決めた頃から、すでに
監督の中で練られていたと思うのですね。ですから、
監督の頭の中には、五輪までの長期計画青写真が
色々な意味で出来上がっていたのだと思うのです。


で、もしそうだとすると、監督はそれに則って様々な準備を進める
わけですから、突如12月の時点でその中核を占めていた要素が
無くなってしまうというのは、かなりの痛手だったと推測します。



これが最初から澤選手抜きでの計画を立てていたのであれば、
最終予選もまた違った結果だったのではないかと思うのですが、
今回のケースは、そもそもありきの計画が軌道修正された中での
澤選手の不在と思いますから、監督の苦労は
生半可なものではなかった、と想像しています。


集団というものは本当に繊細なものですし、
もしかすると、澤選手の引退発表があった時点で、
監督自身は先行きの厳しさを予測していたかもしれません。



ので、澤選手にあのタイミングでの引退発表を決めさせることとなった
種々の要因が、ひいては予選敗退の原因にもなったと考えています。
本当にちょっとした変化と、慣れが生み出した、微妙な「ずれ」
だったと思うのですが、結局のところ、その小さな「ずれ」が
後に大きな歯車の狂いを生み出したように思えてならないのですね。


「ずれ」を生み出したメインの要因は2つあり、
バカバカしいようだけれど、1つは、やはり澤選手が
伴侶を得たこと(=新しい変化)、もう1つは、
男女(=監督と選手)の感覚の違い、だったの
ではないかしら、と考えています。



澤選手は多分色々熟考し、自分を含め全てにとって
最善となることを願って、あのタイミングでの引退発表を
決意したのだと察します。が、もしかして伴侶
(=外界の要素)を得たことで、同選手の判断基準には
微妙な変化が生じていて、それが、女子サッカー界における
自らの立場の実情とその自己認識との間に微妙なずれを
生じさせる結果となってしまったのではないかしら、
とも思います。


もちろん、これは色々当然の変化で、決して良し悪しの
問題でもないのですが、あくまで「五輪出場を目指す
女子サッカー代表という集団の利」を中心に考えた場合の
たらればでいきますと、もし同選手の状況に変化がなければ、
もしかすると同選手の「判断の過程」は異なり、引退を五輪まで
伸ばす決断をしたかもしれません。そうなると監督の当初の
青写真は継続となって、予選での敗退もなかった可能性が
高いようにも思います。かなりの三段論法ですけれど(苦笑)。



また、もう一つの要素は、色々省いて大元だけを探っていくと、
慣れに伴って忘れがちになった現場における男女の感覚の違い、
だったのではないかと考えています。監督の信頼の形は、
共有した時の長さと共に「言わずともわかるだろう」と変化し、
選手側の信頼の形は、慣れれば慣れるほど「全てを言葉で
分かち合うこと」となっていったのではないかしら、と。


そこに、いつの間にか微妙なずれが生じていて、
それも澤選手の引退のタイミングが、全体の歯車と
噛み合わなくなってしまった遠因かもしれません。



澤選手に限っていいますと、監督にしてみれば、
言わなくても自分の構想に入っていることくらい
わかってくれているだろう、という深い信頼があった
気がしますし、澤選手も、やはり色々慮っての引き際の
決断、と察しますので、ボタンの掛け違いのような感じに、
なんとも切ないなあ、と外側から眺めて
想像するものとしては、思ってしまいますけれども。



この、他人の状況の勝手な解釈(妄想)にどれくらい
真実の要素が含まれるのかはちっともわかりませんが(笑)、
そういえば、そんなことを考えながら、
最終予選の試合を観戦していたのでした。



いずれにしても、今では、全ては潔く過去となり、
色々なことが前に進んでいるようにも感じますし、
さすが苦労を重ねた女子サッカー界は一味違う、と。


もしかすると、今回の出来事で澤選手の未来も、
12月の段階で漠然と思い描いていたものとは、
急激にかけ離れたものとなっていくのかもしれませんし、
ともかく女子サッカーの新たな始まりが希望に満ちたものと
なりますように、と1ファンとして願わずにはいられません。


嫌な要素が一つあるとすると、ひたすらマスメディアの
質の悪さかしら(苦笑)。これはそろそろいい加減に
してほしいけれど、諦めるしかないのかもしれませんし。



それから個人的には、(元)監督に、
いずれ男子代表を率いて欲しいと願っています。
そう思っている人は案外多いと思うので、
遠くない将来叶いますように、と神頼み(笑)。



さて、男子代表つながりで、香川選手についても少々。


大きな試合の先発から外され続け、これまでのことは
やっぱり香川選手外しの布石だったのかしらと、見ている側も
不安にならないでもないのですが、どうもそれでも、
危機感といいますか、絶望感といいますかが、
人物と状況と集団から伝わってこないのですよね。
香川選手から「焦り」は感じないこともないのですけれど、
どちらかというと、自分への苛立ちのようですし。


これはもう願望であって、現実とはかけ離れている解釈なのかも
しれないのですが、不遇や苦境という状況とは裏腹に、
どうにも集団から受ける印象は真逆で、香川選手が
現監督に愛されているように感じられてならないのですね。
香川選手には、ことドイツ人が愛さずにはいられない
何かがあるかもしれません。才能しかり、人物しかり。


前監督は、それを全く隠さなかったけれど、
現監督は、そこのあたりがかなり屈折しているような。



もちろん、香川選手がもう一歩、二歩選手として
前進することが絶対条件ですが、それがいずれ
できるという前提で、現監督は、実は大変なことを
香川選手のためには(もちろん一石5鳥くらいも
狙っているだろうけれど)している気がしてなりません。
それを香川選手もどこか心得ているような。


何しろ、ただ感覚でできてしまっていたことを、意図して
できるようにもなりつつある、とか、自分と同等の感性を
持った人以外にも、自分のビジョンを「押しつけられる」
ようになりつつあるように見えなくもないのですもの。


他の選手は信頼されているけれど、香川選手はその才能を
愛されている、と思わせる何かがあって、そうでなければ、
そもそもこんな改革の仕方をしていないと思えてしまうのですね。


他の相性の良い選手たちから離して、決してうまくいくと
わかっている形でプレイをさせようとしない意図は深い
のかもしれません。真実は監督のみぞ知る、ですけれど。



で、素人目には、これから代表ブレイクがありますが、
どうもそこが一つのキーのような気もします。


個人的には、イングランドでの不遇の原因も、
代表にあると思っていますし、今までのところ
様々なことが香川選手にとってはマイナスと
なってしまっていたのが代表だと思っています。
プレイスタイル然り、感覚然り、自信然り。


で、代表で色々なものを失ってきているので、
「代表で失ったものは代表で取り返してこい」と
発破をかけられているのかもしれませんし。
状況的には、どこか今までとは異なる気がしますので、
もしそういう発破をかけられているのならば、
ファンとしても大納得。ぜひ色々見極めて、
色々取り返してほしいです。


とにかく、天賦の才を無駄にはして欲しくないなあ、と
願いつつ、閏日限定で書いたつもりだった戯言を、
ここにこっそり復活させておきます(笑)。


The time will come that foul sin, gathering head,
Shall break into corruption.'
『神の正当な祝福を強奪するものには
それなりの報いが待っている』


'Whom best I love, I cross, to make my gift
The more delayed, delighted.'
『天賦の才を全うしようと苦しむことは
さらに天に愛されその加護を得ることに他ならない』



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