目に見えぬもの

4月も近づいているとは思えないほどの寒さが
続くこの頃ですが、皆さんはいかがお過ごしですか?


ここ最近、始めた頃のようなペースでこの裏ブログを
更新していることに自ら驚いていますが、どうも物事を
観察して綴りたくなるのは、社会全体が色々奇妙な方向に
歪んでいっている気がしてならないからかもしれません。



国外での世相の不安定さも勿論気になりますが、実は、
国内で目についたのは、経歴詐称騒ぎのニュースです。
「えっ、今さらこんなに騒ぐこと?」と思った人は、
案外少なくないのではないかしら。


学歴偏重主義の弊害などと騒がれていましたが、
個人的には、それもひっくるめて、人も社会も、
物事の本質を見極めることをしないからと考えています。


で、今の日本は結構普通に虚偽だらけ、と思っていますので
(日本だけではないのかもしれませんが)、これが問題視
されるなら、本来は渦中の個々人を責めるよりも、そういう、
社会の特徴を客観的に捉えて、原因と解決策を探る方が先、
と思うのですが、その方向には中々向かわないのですよね。
そもそも本質を見極めない傾向がある訳ですし(苦笑)。



個人的には、物事の本質が見極められない原因の一つは、
人々が短絡的に「目に見えるもの」しか見ようとしないからだと
思っています。「経歴」というものは、目に見えるようにした
人の過去ですが、過去の実績そのものは「目に見えないもの」
ですものね。それに、仕事の「質」や人の「資質」も、
分かりやすく目に見えるものではありませんし。
だから「目に見えるもの」次第で人物に対する評価が
簡単に揺れ動くのだと思います。


何度も書いていますが、この根底には、人々の想像力と
個々の価値観の欠如があると考えています。
が、世の中には目に見えないものの方が圧倒的に多い
ですから、可能な限り多くの「目に見えない」要素を
それぞれが正しく見極めようと努力することは、人間の
集団において、本当は最も大切なのことなのですよね。



例えば、最近話題にしている男女サッカー代表。
女子の元監督は、実はこの「目に見えないもの」を
的確に把握してコントロールすることに、とても
長けていた人なのだと、個人的には思っています。


マスメディアは真逆で、単純に目に見えるものしか
追わず、目に見えるものだけを煽り、集団の成長を
妨げるのに一役買ってくれている、という状態、と。



……と、そういえば近頃、本田選手と香川選手を
「両エース」と一括りにする報道をよく見かけますが、
個人的には質の違いを捉えておらず賛同しません。


確かに「集団」の平均的特性から外れているという点では
同じ括りですが、サッカーという競技の力においては、
香川選手は上に、本田選手は下に外れていますから、
同一扱いにするのは、集団を混乱させる原因となり大変危険。
また両選手の、集団との合わせ方も異なると思うのです。



本田選手は、意識的にせよ無意識にせよ、
集団を自分のレベルまで引き下げる、という合わせ方。


香川選手は、自分のレベルを集団に合わせていく、という合わせ方。
香川選手の場合、自分のビジョンを集団内に持ち込もうとすると、
多分集団がついてくることができず、集団の連携から外れてしまう
のだ思います。良いイメージも判断も共有できなければ
無駄になりますし、合わないという時点で合わなかった原因は
誰も見てくれませんし。ですから、当面は、自分のビジョンを
集団のレベルに合わせて連携を計り、所々チャンスを見極めて
自分のレベルでプレイをする、という合わせ方になるのではないかと。


高いものを必要に応じて下げるのは、当人の意識の持ちよう
(これがとても大切だけれど)で、可能なのですよね。
周囲の頭の中を自分のレベルのビジョンにまで引き上げることは
容易ではありませんし、その役割を(時間をかけてなら可能ですが)
一人の人間が、決められた短期間の中で負うには荷が重すぎます。
今回は、その辺りの意識上の準備ができているように
見受けられるのだけど、実際のところはどうなのかしら。



で、上記をそうと仮定しますと、両選手が同時に集団に入った時、
多分摩擦が生まれるのですね。前々監督以降、これまでは、
誰もその構造をはっきりとは認識しないまま、集団が本田選手方向に
引きずられるやり方がとられてきたように思いますが、
個人的には、これが、これまでの日本チームに漂ってきた
停滞感の原因で、香川選手が代表で苦しむ一因と考えています。


ですが、集団のレベルそのものが多分上がっており、
集団の意識もどこか今までと異なるようにも見えますから、
今回、どうなるのか、興味深いところです。



ところで、以前、選手間の相性のことを書きましたが、
何となく今はそれは大丈夫という気がしてならず、
Tuchelが、多分色々Guardian Angelである、
という解釈に、現在のところ落ち着いています(笑)。
錯覚は、目に見えず曖昧だった現実が明確になった時、
突如効力を無くすものですし。



と、「目に見えないもの」から、いつの間にかサッカー代表の
話になっていて我ながら苦笑い。どうも気になるようです(笑)。



すべての選手たちにとって本当に正しい方向に、ものごとが
廻っていきますように、と祈りつつ、取りあえずこの辺で……。



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